不登校でもオンライン授業は出席扱いになる?文部科学省の制度と、変わったばかりの成績評価
「家でオンラインの授業を受けた日は、学校の出席になるのだろうか」
不登校のお子さんがいるご家庭から、いちばん多くいただく質問のひとつです。
結論からお伝えします。なります。文部科学省が制度として認めていて、令和6年度は全国で13,261人の小中学生が、自宅でICTを活用して学んだ日を出席扱いとして認められました。
ただ、自動的にそうなるわけではありません。学校との連携のなかで、在籍校の校長先生が判断する仕組みになっています。
この記事では、制度の根拠と実際の人数、そして令和6年(2024年)8月に大きく変わった成績評価について、文部科学省の資料をもとに整理します。
制度の根拠は、令和元年の文部科学省通知
出席扱いの根拠になっているのは、「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日/元文科初第698号)です。
この通知には、大きく2つの道筋が書かれています。ひとつは、学校外の公的機関や民間施設に通って相談・指導を受ける場合。もうひとつが、自宅でICT等を活用して学習活動を行う場合です。オンラインでの学習は、後者にあたります。
ひとつ注意点があります。インターネット上には「平成17年の通知によると」と書かれた記事がまだ多く残っていますが、その通知はすでに廃止されています。現在の根拠は、令和元年の通知です。
そして文部科学省は、令和8年4月にこの制度をまとめたリーフレットを公開しました。学校・教育委員会向けと保護者向けの2種類があり、どちらも文部科学省のサイトから誰でも読めます。学校と話すときに手元にあると、心強い資料です。
実際に、どれくらいの子が認められているのか
文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(令和6年度)から、数字を見てみます。
自宅でICT等を活用した学習活動を行い、指導要録上の出席扱いとされた小中学生は13,261人。内訳は小学校4,828人、中学校8,433人でした。
推移はこうなっています。
令和元年度 608人
令和2年度 2,626人
令和3年度 11,541人
令和4年度 10,409人
令和5年度 10,467人
令和6年度 13,261人
令和元年度と比べると約22倍です。ただし、まっすぐ増え続けているわけではありません。令和4年度から5年度は足踏みして、令和6年度に前年比26.7%増と再び大きく伸びました。
あわせて、学校外の機関等で相談・指導を受けて出席扱いとされた小中学生は42,978人。こちらも令和5年度の38,632人から増えています。
同じ年度の不登校児童生徒数は、小中合わせて353,970人でした。分母から見れば、まだ一部です。それでも、制度を知って使うご家庭は着実に増えています。
何が必要になるのか
いちばん知りたいところだと思います。
大きくいうと、学校との連携が前提になります。通知は、保護者と学校の間に十分な連携・協力関係が保たれていること、そして校長先生が学習活動の状況を十分に把握していることを求めています。
言い換えると、こういうことです。家庭だけで完結させず、学校に状況が伝わる形をつくること。定期的な報告や、担任の先生を含めた話し合いの場があること。そして学習の中身が、そのお子さんの理解の程度を踏まえた計画的なものであること。
もうひとつ大事な点があります。判断するのは、在籍校の校長先生です。通知は「出席扱いとすることができる」という書き方をしていて、義務ではありません。
そして文部科学省は、全国一律の基準をあえて示していません。公開されているQ&Aには、一人ひとりの状況や学校・地域の実態が違うため一律の基準は示していない、ただし学校や教育委員会において一定の基準を作成しておくことは必要である、と書かれています。
つまり、お住まいの自治体に基準があるかどうかで、進めやすさが変わります。
令和6年8月、成績評価が法令に位置づけられました
ここからは、まだあまり知られていない話です。
令和6年(2024年)8月29日、学校教育法施行規則が改正され、あわせて告示が出されました。不登校の児童生徒が欠席中に行った学習の成果を成績評価に反映できることが、法令上はっきりしたのです。
これまでも「出席扱い」の制度は知られていました。でも成績のほうは、学校ごとの判断に委ねられている面がありました。それが省令と告示という形で位置づけられた。これは大きな変化です。
そして実際の数字を見てください。
令和6年度、欠席期間中に行った学習の成果を指導要録に反映された小中学生は81,467人。内訳は小学校22,889人、中学校58,578人です。この項目は、令和6年度の調査から新しく数え始めたものです。
先ほどの出席扱いの人数(自宅ICTで13,261人)と比べてみてください。成績評価のほうが、はるかに多くの子に届いています。
理由のひとつは、要件の作りが違うことです。文部科学省の通知は、成績評価にあたって対面での相談・指導を行うことが望ましいとしたうえで、対面での指導が困難な児童生徒の場合にはICT等を活用した相談・指導を行うことも可能である、と明記しています。
もう一点、知っておいてほしいことがあります。すべての教科に評定がつくとは限らない、という点です。
通知は、要件を満たしていない教科がある場合や、評価材料が十分に提出されていない場合には、必ずしもすべての教科・観点について観点別学習状況および評定を記載することが求められるものではない、としています。
ただしその場合でも、指導要録の所見欄に学習状況を文章で記述するなど、次年度以降の指導の改善に生かすという観点に立った適切な記載に努めることが求められる、と書かれています。
「評定がつかない=何も残らない」ではありません。
進路を考えるうえで、ここは大きな意味を持ちます。高校受験では調査書が使われます。学習の記録が残るかどうかは、その先の選択肢の広さに直結します。
認められにくいのは、どういうときか
文部科学省は、出席扱いとして認められなかった例も公開しています。
ひとつは、無料のインターネット学習プログラムを利用していたけれど、そのプログラムにおける学習のねらいや内容が明確でなかったケース。
もうひとつは、学校が様子を確認しようとしたのに家庭の協力が得られず、お子さんの状況や学習の様子が十分に確認できなかったケースです。
この2つから見えてくることがあります。問われているのは「何を使ったか」よりも、「中身を説明できるか」「学校に伝わる形になっているか」だということです。
市販の教材やアプリをひとりで進めているだけだと、学習のねらいや計画を学校に説明しにくい。そこが壁になりやすいところです。
まず、何をすればいいか
順番としては、こうなります。
①在籍校の担任の先生に相談する。申請ではなく、相談から始めてください。「家庭でこういう学び方を考えています」と伝えるところからです。
②自治体に基準があるか確認する。学校か教育委員会に聞いてみてください。1日あたりの活動時間の目安や、対象になる施設の考え方を定めている自治体があります。基準があるほうが、むしろ話は早く進みます。
③学習の中身を説明できるようにする。何を、どんな計画で学んでいるのか。ここが曖昧だと、学校も判断ができません。
④報告の形を決める。どのくらいの頻度で、誰が、何を学校に伝えるのか。ここが決まれば、あとは運用に乗ります。
そして最後に、これだけは書いておきたいことがあります。
出席日数のために、お子さんを追い立てないでください。出席扱いも成績評価も、その子が安心して次に進むための道具です。目的ではありません。制度は、選択肢を広げるためにあります。
クラスジャパン小中学園について
クラスジャパン小中学園は、オンラインのフリースクールです。自宅にいながら、オンラインの部活動や自習室など、さまざまな活動に参加できます。これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。経済産業省「未来の教室」実証事業では、全国17自治体の教育委員会と連携し、不登校児童生徒のICT在宅学習モデルと学校内評価ガイドラインづくりに取り組みました。
出席扱いや成績評価をどう進めればいいか迷っている方は、まず説明会でご相談ください。「まずは話を聞いてみたい」という方も歓迎です。
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